なぜ運送会社の新人は配車の電話が辛い?|心理学的に水屋の配車を解析します

なぜ新人は配車の電話が辛い?心理学的に配車業務を解析します

物流関係の会社に入社出来たと思ったら、いきなり配車担当に。「今日から取扱い(水屋)の担当者だ」と告げられ業務が始まると、ガチャ切りされ、怒られ、冷たくあしらわれる、辛い日々。私も経験がありますが、正直コールセンターの業務と大差ないのでは?と疑うレベルです。今回の記事では、なぜ新人が辛い思いをするのか?をテーマに心理学的な要素から配車という仕事を解析します。

人は営業が嫌い

電話が嫌になる理由

ガチャ切りされたり、怒られたり、冷たくされるのが好きな人はいません。たまに冷たくあしらわれるのが快感という変態的な人もいますが、この記事を読むあなたはきっとそうではないはず。配車の電話をするのが嫌になるのは、相手の不快感に触れなければならないからです。普段は聞き上手で友人がたくさんいるあなた。だから決してあなたが悪いわけではないのです。理由は電話の用件が配車であることと、相手の懐疑心にあります。

あなたが嫌われる理由

例えば、マイカーを探していて何店舗かまわったあと、営業の電話がしつこくかかってきて対応に困ったというような経験はないですか?営業マンの人柄も対応も良かったのに、電話されるとプレッシャーを感じて嫌になってきますよね。このように人は基本的に営業されることを好みません。配車は営業です。「何か荷物ありませんか?」「〇〇(地方)にトラック来られていませんか?」は「車を買ってください」「車を売ってください」の電話と何も変わらないのです。どんな結果が得られるか分からないからこそ相手は警戒し、あなたに冷たい態度をとる、ということを理解しておきましょう。

懐疑心

人間社会と懐疑心

人は社会で生き残るために懐疑的な見方をしなければならなくなっています。あなたも食料品を購入するとき、パッケージを無条件に信用せず、成分表示を見たりするでしょう?「これ〇〇産じゃないか?」とか。「セール品?でも本当にお得かな?」とか。こういった疑問を抱くことは現代社会において非常に重要となっていて、胡散臭い商品や押し売りのようなビジネス慣行に対して、懐疑心を抱くことで対抗しているのです。そのせいで、実際にいい製品やサービスであっても、何かを説得しようとすればするほど、本能的にそれに抵抗してしまうのです。なんだか残念なことですね。

やればやるほど

配車の取引において、新人という立ち位置は非常に不利なものです。聞いたことがない声で「荷物をください」「トラックを貸してください」と言われると、いくら知っている会社の人間でも懐疑心がはたらいて警戒されてしまうのです。物流会社の上司には「とにかく回数をこなせ」と言う上司がいますが、実はこれは逆効果になることが多く、やればやるほど警戒もされるし、お互いに心理的な距離を感じる結果になります。「すでに人間関係を構築している上司が、前もってお膳立てするほうが会社的にも成果が上がって良い」というのが私個人の意見ですが、中々そうもいかないものです。

取引関係

信用と信頼

「信用」と「信頼」の言葉の違いを知っていますか?まず、どちらが先でどちらが後でしょう?「え?先とか後とかあるの?」と思うかもしれませんが、あるんです。正解は「信頼」が先です。ビジネスにおいて、信頼は結果が出る前に取引先からもらう評価です。人柄であったり、誠実な対応によって「結果が得られるかもしれない」という期待を勝ち取り得られるのが「信頼」。そしてその期待に応えたという証が「信用」です。見込み客(リード)から得られるのが「信頼」で、顧客(クライアント)からすでに得られているのが「信用」というわけです。

あえて仕事の話をしない

では新人配車担当者はどうやって「信頼」を勝ち取れば良いのでしょうか?人柄を見せる?それとも誠実にふるまう?でも具体的な方法が見つかりませんよね。よく上司に相談すると、やはり「回数をこなせ」という根性論が返ってきます。そこで営業に対する懐疑心についての話が参考になってきます。消費者も取引先も同じ人間。営業されるのは苦手なんです。「荷物ないですか」と百回言ったところで百回とも営業の話です。苦手なことをしてくればしてくるほど、相手は心を閉ざし、あなたに冷たくあたります。だったら、隙をうかがって、人間らしい世間話の一つでもしてみるといいのかもしれません。あなたが相手を客としてではなく、ビジネスに関する世間話をする相手として見れば、何かしら相手の耳を受話器にひきつける話ができると思います。

配車の効率

関係が重視される

「どうして自分が電話すると塩対応なのに、上司が電話すると荷物をくれたり、トラックを貸してくれたりするのだろう?配車ってただの仲良しごっこなのか」と思ったかもしれませんが、その通りです。懐疑心についてここまで見てきて分かったと思いますが、人間的に仲良く話ができる相手がたくさんいる人=(イコール)配車がデキる人なのです。そういう人たちがどうやって信頼を勝ち取ってきたのかを分析し、再現することができれば、あなたも明日から配車がデキる人に近づくことができるでしょう。つまり人間関係のつくりかたを今一度勉強したほうがいいということです。

理想的な信頼関係

ここからは私の個人的な考えです。配車を長年やっていると、他の配車担当者同士の関係を見ていて、それが「ただの仲良し関係」なのか、それとも「ビジネスの信頼関係」なのか分かるようになります。誰にでも見分けがつくのは「ただの仲良し関係」。なぜなら、その関係で成約している配車から利益が生まれていないからです。一所懸命走るドライバーのためにも、会社のためにも、利益のことを考えるのは大切なことです。しかし、取引関係が配車係個人の人間関係と混同してしまうと、その担当者はドライバーのことも会社のことも二の次になってしまうのです。だから、世間話で最初の懐疑心を乗り越えるのはいいのですが、そこにビジネスでの信頼をつかむための工夫をしなければならない、と私は思っています。何だか難しいことを言い始めたように思われそうなので、誰でも取り組める簡単な方法の例を一つ教えておきましょうか。

  1. 世間話は業界に関する世間話をすること
  2. 相手の立場から相手が望む会話を予測すること
  3. 世間話のあとについでのように配車の用件を伝えること

この三つを意識してみてください。例えば「〇〇の〇〇です。(社名を伝える)最近忙しくてトラックがつかまらなくて困ってます。今日も上司に怒られちゃって…云々」みたいな感じで、配車というビジネスにおけるあなたの話から切り出してみてはいかがでしょう。

解析から課題を見つける

ただの仲良し関係

冷たくあしらってくる懐疑心の壁を乗り越え、それなりに関係をつくれた人間に対して、私は一定のリスペクトをしています。しかし、ただの仲良し関係だけで仕事をし続けている担当者を見ると「危険だな」と感じます。このようになると、会社の売上が自分の人間関係ひとつに左右されていると錯覚するようになってしまうからです。私自身、そういう経験があるから分かるのですが、「ただの仲良し関係」にはそれだけの魔力があります。「自分には実力がある」と会社を何度も転々として良くない未来にたどり着いてしまった知り合いもいます。昨今の営業においては、相手の懐疑心を上手く取り除くことができれば良いとは言いましたが、自分が構築した関係の力に溺れないようにする必要があります。そのためにもビジネスと個人の境界が分かるように、日頃から意識しておかなければならないのです。

そしてソリューションへ

信頼関係=配車の成果。これは間違いがないことです。でもそれがただの仲良しごっこではなく、ビジネスの信頼でなければならないと、懐疑心にまつわる事例の解析から理解することができました。配車という仕事は、傭車を頼む優先順位や、トラックを出して手伝う相手の優先順位を考えたりしながら、スピーディにこなすことが求められています。だから、多くの信頼関係や、即決するための判断力などが求められる、特殊技能が必要な職種として業界に君臨しているのです。でもそれって、実は「電話でやらなければならない」という先入観がそうさせているのです。そうやって考えると、そろそろ電話以外の受発注ツールが出てきても良い時期だと思いませんか?私たちは、信頼関係はこれまで通り、電話したり、訪問したりしてつくれば良いと思っています。ただ、受発注まで、電話で相手に声を聞かせて、感情まで持ち込んでやる必要はない、と考えています。新人が多く投入される傭車の受発注業務。もし、電話でやらなくても良い業務に変われば、あなたのような不遇な新人を今後は生み出さなくても良くなるのかもしれません。

まとめ

中小の物流企業であれば、今後も直荷主の荷物と自社トラックの台数がピッタリになることが無い限り、荷物やトラックを探し回る配車業務は無くなりません。相手の懐疑心を乗り越え、仲の良い取引先を見つけられれば生き残り、それができなければ辞めていくしかない。そんなのは辛すぎます。誰でも受発注において成果を残すことができ、社員一丸となって頑張る運送会社をつくっていける。そんな貨物トラック業界が見たいと思いませんか?あなたにはまだ、それほどこの業界に思い入れがないかもしれませんが、こうやって真剣にあなたや他の新人さんが生きる業界の未来を考えている人間と会社があることを覚えておいてください。

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