よくSNSや匿名掲示板サイトで「水屋はピンハネ、要らない」「水屋が運賃の水準を下げている」などの投稿を見ますよね。果たして、本当にそうなのでしょうか?このコラムでは、本当に水屋はピンハネなのか?、存在意義はあるのか?、その水屋は本物の仕事ができているのか?、どうしてピンハネだと言われるのか?、などについて、実例にそって詳しく説明していきます。
水屋とは
①社寺で参詣人が口をすすぎ手を洗い清める所。
②茶室に付属する台所のような所。
冗談です。運送業界でいう水屋とは、貨物利用運送事業(第一種貨物利用運送事業)のことです。
他者からの運送依頼に応じるため、自らが運送責任を負って運賃及び料金を収受し、他の実運送事業者を利用して行う貨物運送のことをいいます。
車両を持たずに利用運送を専門に行う事業者を「専業水屋」と言う人たちがいます。また、車両を持ちながら利用運送も行う事業者のことを、水屋と呼んでいる人たちもいます。例えば、自社トラックをもっているのは本社だけで、全国各地にある営業所は利用運送だけをやっている、というようなパターンがあります。他にも、自社の受注量はかなり多いのに、自社トラックは数台で、残りは傭車に外注をしているようなスタイルの会社も、運送会社からの受注もかなり多く請けているというパターンもあり、こういうような業者を水屋と呼んでいる人もいるようです。水屋の業務を始めるのに必要なのは、電話と配車係と利用運送の登録です。トラックやドライバーを集めて始める貨物運送業と比べると、費用が抑えられることから、運送会社の営業範囲拡大戦略の際に水屋スタイルでの営業所出店が増えてきました。そして、そういった費用面での利点ばかりを考えて出店した水屋の営業所が増えてきたことで、水屋をピンハネ扱いして文句を言う人たちも増えたのではないかと考えています。
水屋はピンハネ?
よくSNSや匿名掲示板サイトでこんな投稿を見ますよね。

水屋がいるから運賃が下がる

水屋はただのピンハネ、要らない

水屋はノーリスクでいいご身分ですね
こんな風に「ピンハネだ」と言われる水屋には、次のような特徴があります。
・信頼関係を持っていない
・既に3~4次請けで運賃が安い
・割に合わない仕事を言ってくる
・トラブルに対して無責任
詳しくは、水屋の存在意義について話してから説明します。
水屋の存在意義

え?ピンハネって言われるような仕事なのに?
一部そのように言われてしまうような仕事をしている者もいますが、きちんと信頼に応える良い仕事をしている水屋もいます。水屋はトラックやドライバーの管理業務などで営業に手が回らない運送会社に代わって、案件やトラックを探してくるのが仕事だと言えます。「この荷主の仕事であれば、どの会社のトラックが最適である」というような荷主と運送会社の両方の要望に応えることができる知識と情報が大量に必要になります。依頼をしてくる運送会社の要望にいつでも最適な対応ができるように、運送会社の担当者が自社トラックの運行などに注力している間、情報を収集し続けなければなりません。これらの情報を駆使して、荷主側、傭車側のそれぞれが「よかった」と思えるようなマッチングができるとベターです。さらにそれに加えて、トラブルが起きたときには迅速で適切な処置に努めなければならなりません。荷主が納品先からの信用を損ねないように細心の注意を払います。間に入って右から左につなぐ、簡単で楽勝な仕事のように見られがちですが、水屋として信頼されるためにはこれらのことが当たり前のようにできなくてはならないため、決して簡単な業務とは言えません。
次に、水屋が運賃の水準を下げているか?という点について考えてみます。これの答えはノーです。運賃の水準とは、一次元請けの業者が荷主に請求する運賃の金額の平均になると考えています。業界全体の運賃水準が下落傾向にある、というのであれば、貨物トラック運送業界がデフレになっているということです。デフレとは、供給過多で、安くなければそのサービスを買ってくれないという状況が生み出す現象です。だから水準が下がるときは「安くするからウチを使ってください」と荷主に営業する業者が増えているときなのです。水屋は「安くするから仕事を下さい」なんて言いません。むしろ、「これだけしか払えないけどなんとかしてほしい」という要望に応える仕事をしています。傭車先も当然「安い運賃では走りたくない」と言ってくるわけですから、水屋がたくさんピンハネできるところなんてあるわけがないのです。でも、最近は受注量が減っているから一件あたりの利益を増やそうと、とんでもない運賃で傭車を走らせようとする業者がいないわけでもありません。こういった景気に関連した社会現象が、「水屋はピンハネ」というワードを流行させているのかもしれませんね。
運送会社は、本来はトラックや荷物を探す時間を短縮するために水屋を利用していると思います。だから求められている本来の水屋とは、“信頼できる時短ツール” でなければなりません。
つまり、一部の水屋がピンハネ業者などと言われてしまう理由は、“信頼できる時短ツール” になりえなかったからです。信頼していたはずなのに無責任だったり、平気で安い運賃を提示したりしたら嫌ですよね。専業水屋は前述で説明したように、自社の信用を商品にしているといっても過言ではありません。だから「自社だけが良ければ」という考えで配車をしていません。だからもちろん「信じられないぐらい安い運賃」というのを提示するようなことは絶対にありません。それに対して、信用に傷がつくことを恐れずに、ピンハネなんて呼ばれるような仕事ができるのは、信用という言葉とは程遠いリスクが少ない状況に置かれている業者なのかもしれませんね。

なるほど。すべての水屋が悪い訳ではないんだね
もし、水屋が信頼を無くすようなことをしたらどうなるでしょう?水屋は、トラックをかしてくれる運送会社がいないと生き残れません。だから、水屋は依頼する運送会社と、自分たちが発注する荷物との間に、利害の一致が生まれるように気を配っています。本当はきっと運送会社の方々もそのことに気付いているのだと思いますけどね。一口にピンハネとは言いますが、卸業者なども含め、中間手数料をとるスタイルの業種はたくさんあります。土木業者の下請け構造だってそうです。それが不必要であるのか、そうではないのかの議論はよくされていますが、そもそもそういうスタイルが生まれたのには理由があるはずです。前述したように関係者たちの利害を一致させる作業とは簡単ではなく、それができるからこそ手数料を支払ってでも頼みたいと思われる仲買業者がうまれるのではないでしょうか。否定するのは簡単でも、その人たちのビジネスを理解するのは難しいということです。
まとめ
水屋はピンハネと呼ばれやすいビジネススタイルですが、必要とされない業種であるかどうか、簡単に判断できるものではありませんでした。実際に必要とされている水屋は存在しますし、悪質なピンハネ業者だとレッテルを貼られているような水屋もいるようです。あなたが付き合っている水屋は、あなたの会社に必要な利点をもたらしていますか?今一度確認してみるのもいいかもしれません。
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